3年生がいなくなる季節

 僕の講義では、出席は原則的に取りませんが、たまに突然ビデオを見せたりして感想を提出してもらい、それで出席点をつけたりすることがあります。

 で、昨日の講義ではそうしたのですが、提出されたコメントシートをチェックしていると、3年生がほとんどいない状態。もう就職活動が本格化しているのだな、と痛感しました。こういう現実を見せつけられると、頭では理解したとしても、やはり就活の時期は何とかしてほしいと思わずにはいられなくなりますね。

 ゼミの方も、3年生の半数が就活で欠席し、いつになく少人数で。僕が書評した本は以下の2冊。

藤田省三セレクション (平凡社ライブラリー)

藤田省三セレクション (平凡社ライブラリー)

 実は藤田省三を読むのは初めて。たぶん今の政治学の世界では流行らないでしょうが、僕はこういう精神史的な議論も依然として重要だと考えているので、学生にも積極的に紹介。気に入った一文:「自分を超えた絶対的他者としての物事に対面して、苦痛を伴うそれとの交渉を厭わない精神は、支配性や領略感や侵略性とは逆の「自由」をしっかりと基礎づける」(「今日の経験」より)。爽快感ばかりを政治に求めがちな現在の日本で、ますます重みを増している言葉では。

ユーロ――危機の中の統一通貨 (岩波新書)

ユーロ――危機の中の統一通貨 (岩波新書)

 悲観論の飛び交うユーロですが、それは「政治的通貨」だから簡単に崩壊するものではないという主張は興味深い。大学生のころから読んでいる著者なので、読みながら何か懐かしい気分にもなりました。