魔の2月

 この大学に来てから、僕はこの時期を「魔の2月」と勝手に呼んでいるのですが、それは、入試や論文の査読などただでさえ忙しいこの時期に、この大学では授業もしなければならないという理由によります。

 ただ今年は、今のところ「魔」というほどではなく、何とか乗り切れそうでしょうか(乗り切る=体調を崩さない、の意)。予想通り、論文の校正が二つ立て続けに来たのは、やや大変でしたが(まだ過去形にはできないですが)。特にそのうちの一つは、書き上げてから時間ががたっているために、書いているときにはあったであろう根拠と自信を忘れつつあって、ゲラを読みながらどうも不安がよぎってしまう感じで、いちいち確認しながら進めたり。

 さて、昨日のゼミで、僕が学生に書評した本は以下の2冊でした。

 ①前回、藤田省三を読んだ勢いでこちらも。ほとんど読んだことある文章とはいえ、いろいろと新・再発見があります。本書収録分で好きなのは、超メジャーで月並みですけど、やはり「超国家主義の論理と心理」と「日本の思想」でしょうか。杉田先生の解説も面白いです。

丸山眞男セレクション (平凡社ライブラリー)

丸山眞男セレクション (平凡社ライブラリー)

 ②この本の前身『データ戦後政治史』は、僕が大学1年の時の講義の参考文献で、この本の初版を読んだのは大学4年の時。そういう点でも少し懐かしさを感じながら読みました。90年代あたりを境に記述の焦点が微妙に変化するように感じたのですが、それは著者の違い(=ジャーナリストと研究者との違い)か、あるいは日本政治自体の変化を示しているのか。

戦後政治史 第三版 (岩波新書)

戦後政治史 第三版 (岩波新書)