怒涛の6月
前回、6月はちょっと忙しい予感みたいなことを書きましたが、終わってみると結構怒涛の日々でした。公開講座や学会その他の出張が多かったことや、某リレー講義の担当が回ってくる月だったこと、さらには、某講義の中間レポートの採点やコメント書きなども重なっていたことによります。
上記の「公開講座」とは、津田塾大学で行われた「社会的ヨーロッパの隘路と可能性」というもの。僕はコメンテイターとしての参加でしたが、かねてより疑問に思っていた「社会的」の意味などについて、じっくり議論できて楽しかったです。やはり、ヨーロッパ政治研究者の方々と集まって議論する機会は貴重だな、と。
また、「学会」とは神戸大学で行われた比較政治学会。比較政治学会としては何年振りかにお役目なしだったのですが、そのため始まる前の緊張や、終わった後の解放感による気の緩みなどがなく、じっくりと各セッションの報告について考えることができました。あと、今後に向けた簡単な打ち合わせなどをいくつか。しかし、この学会へ行くと、自分がもはや若手ではないことを思い知らされてしまう(苦笑)。
そんな中、ゼミなどは通常通り進行中。ちょっと前になりますが、僕が恒例のゼミ書評で紹介した本は以下の二冊でした。
(1)最近僕自身もドイツの政党をちょっと勉強中ということと、ゼミ生の中にドイツ政治を中心に卒論を書く人が2名いることから、その参考になるかと思って読んだ1冊。ドイツ緑の党について、日本語で最も詳しい1冊ではないでしょうか。日本との比較も、いろいろと考えさせられます。
- 作者: 西田慎
- 出版社/メーカー: 昭和堂
- 発売日: 2010/01
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(2)上で書いた某リレー講義で、「戦争と平和」について扱ったので、その参考になるかと思って読んだ1冊。政治哲学の観点から、平和主義をさまざまな形で議論していて、大変面白かったです。講義でも少し使わせていただきましたが、それ以上の収穫。知的にスリリングとはこういう本のことを言うのでしょうね。
平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和 (中公新書)
- 作者: 松元雅和
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/03/22
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さて、もう7月か…。ヤマは越えたはずなので、研究に本腰を入れねば。
5月末日
今月は、5月初日と5月末日にブログを更新することになってしまいました。狙っていたわけではないのですが。
5月末日締め切りの書評原稿も無事に提出。字数オーバーの問題は残るものの、内容的にはご了承いただけたようで、ホッとしております。活字になるのは、10月の予定です。
また、毎年恒例、5月末の大イベントと言えば、健康診断。今年は、5月に飲み会が多かったりしてやや苦戦が予想されたのですが、直前の一週間で必死に調整して(自転車通勤の距離を延ばすなど)、とりあえずなんとかBMIを20.0未満に落とし、腹囲測定を回避することに成功。また、歳を重ねるほどに血圧が下がってきているという現象も。健康的になったというより、白衣高血圧を克服しつつあるということなのでしょうけど。
さて、ゼミの方も順調に進行中。だんだんと、議論が盛り上がるようになってきました。今週のゼミ書評で僕が取り上げた本は、以下の2冊です。
(1)以前から注目していた先生なのですが、昨年ある学会でご一緒したことで、お知り合いになれてとてもうれしいです。規範の政治もEUも関心のあるテーマなので、興味深く読みました。規範パワー、特にそれをマルチレベルガバナンスと結び付けて考える議論は、かなり独創的に思われ、引き込まれました。
- 作者: 臼井陽一郎
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2013/04/15
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(2)ゼミ書評で紹介した学生がおり、飲み会でもちょっとした話題になったので、僕も読んでみました。なかなか生々しくてすごい(笑)。新書としては面白いが、といったところでしょうか。
- 作者: 鈴木翔,解説・本田由紀
- 出版社/メーカー: 光文社
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さて、明日から6月。学会出張などがあるうえに、リレー講義の順番も回ってきたりするので、なかなか忙しいことが予想されます。とりあえず、明後日日曜日には、津田塾大学での講演会でコメンテイターをしてきます。案内は以下のリンクです。
http://www.tsuda.ac.jp/news/lecture/2013/hak1k300000049qb-att/2013EU-JapanFriendshipWeek_OpenLectureflyer_130602.pdf
暦通りの進行
現在、ゴールデンウィーク。とはいえ、今年は間に3日間平日が挟まっており、こよみ通りにその平日には講義などをしているので、あまり長期連休という感じはしません。まあ、授業日確保のために祝日にも授業を行う大学もあるらしいので、それに比べれば恵まれている(いや、恵まれているというよりこれが普通だ)と思いますが。
というわけで、昨日は学部の講義とゼミ、そしてその後の新歓飲み会までをみっちり。学部ゼミは実質初回ということでどうなるかなと楽しみにしていましたが、4年生が先輩としての自覚なのか、ずいぶん活発に議論をリードしてくれた印象でした。逆に、3年生はまだ様子見なのか、ちょっとおとなしい感じでしたが、まあこの辺は回を重ねるごとに変わっていくことを期待して、じっくりと。
昨日は今年度初のゼミ書評。僕が今回紹介したのは以下の2冊でした。
(1)まさに、「政治的思考」を迫る1冊。こういう本が(特に一般の人に)読まれてほしいなあ、と思わせる良書でした。こういった議論の際にあまり取り上げられることのない「限界」と「距離」の章が、特に印象的でした。
- 作者: 杉田敦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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(2)自明、あるいは常識的と思われている概念を、きちんと突き詰めていくという点が、いわゆる「研究」のお手本となる姿勢です、ということで、学生に紹介しました。もちろん内容的にも大変勉強になります。
- 作者: 谷口将紀
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慌ただしくなってきた
いろいろと、慌ただしくなってきました。その中でも、今週は気の重い仕事がいくつかあったのですが、何とかこなして、ややホッと。まあただ、来週もなかなかヘビーなのですが。
前回書きました大学院に続き、学部ゼミの方も始まりました。今年は受講生がやや多め。でも2学期制の影響でコマ数は減るので、報告をどう回していくか、考えどころです。
とりあえず、春学期のテキストは決まりました。論文を書く際のお手本となる本で、なおかつ内容的には論争的というか、議論が盛り上がりそうなものをチョイスしました。
(1)
- 作者: コリン・ヘイ,吉田徹
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- 作者: 中北浩爾
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- 作者: 木寺元
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- 作者: キャスサンスティーン,那須耕介
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特に後二者あたりは、学部生にはやや難解かなとも思うのですが、さてどうなりますか。
春学期開始
また新学期が始まりました。毎年のように思いますが、ついこのまえに3学期が終わったばかりなのに。
ただ、我が大学は今年度から二学期制になりました。それに伴う影響は良い面も悪い面もぼちぼちと出てきているようですが、僕としてはとりあえず、「春学期・秋学期」という言い方が気に入っています。これまで「前期・後期」か「1学期・2学期・3学期」としか呼んだことがないので、何か新鮮で。…と言いつつ、まだかなりの頻度で、「1学期は…」とか言い間違えるのですが。
担当授業の方も一つずつ始まりつつありますが、まずは大学院のゼミから。春学期は、博士論文をもとにして出版された日本語文献を中心に、政治学の論文の構成や書き方、理論の当てはめ方などを検討することがテーマ。10冊以上の候補の中から、受講生の希望で以下の4冊をテキストとすることになりました。
(1)こちらは、アイディアの政治の一つとして。僕自身も某誌に書評を書くことになっているので、その準備も兼ねています。
家族主義福祉レジームの再編とジェンダー政治 (シリーズ・現代の福祉国家)
- 作者: 辻由希
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(2)こちらは博士論文というわけではないですが、院生が希望したので。合理的選択制度論の一例として。
首相政治の制度分析- 現代日本政治の権力基盤形成 (叢書 「21世紀の国際環境と日本」)
- 作者: 待鳥聡史
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(3)アイディア+歴史的制度論(理論の組み合わせ)の例として。
制度発展と政策アイディア: 満州国・戦時期日本・戦後日本にみる開発型国家システムの展開
- 作者: 佐々田博教
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(4)資源動員論の例として。
現代ドイツ福祉国家の政治経済学 (シリーズ・現代の福祉国家)
- 作者: 近藤正基
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明日には、学部ゼミも始まります。
ロンドンなど
3月に入り、我が大学でもようやくと春休みに入りました。僕個人は、いろいろと怒涛の日々が続いております。
3月上旬には、調査のため、ロンドンに行ってまいりました。今回は、イギリス労働党の地方組織や、フェビアン・ソサエティなどを回り、見学やインタビューをしてきました。いろいろなことが聞けて、それなりに成果はありましたが、一番印象に残ったのは、現在の党首であるエド・ミリバンドへの評価が、労働党内部においても割れているということでした。ただ、「頭は良い(がカリスマ性には欠ける)」、「周りの人々の意見をよく聞く」という評価は共通していたように思います。まあ、どうしてもブレアと比較したうえでの、高/低評価となるようです。
いずれにしろ、今年の夏には、労働党関係の原稿を一つ書くことになっているので、何とか生かせればいいのですが。
また、ロンドンに行くといつも悩まされるのは、時差と食事なわけですが、やはり今回も。とりわけ時差に関しては、こちらが年を取るごとにしんどくなってきている感じもします。行く前はビールとか楽しみにしていたんですが、夜になるとどうにも眠くなり、あまりビールという気分にもならなくなるんですよね。そうするとどうしても手近なもの(大抵、おいしくない)で済ませようとしてしまい、そのためによけいに、食事への不満につながっていくような気も。
さて、そんな3月のもう残すところ1週間。そろそろまた、新年度のことが気になってくるところですが、その前に、卒業式と、もう一つ国内出張が待っております。
どうあっても忙しくなるらしい
我が大学は3学期制ですので、この時期もまだ授業期間中ですが、僕の場合は、今年は3学期に講義を入れずに済んだため(ゼミはある)、例年よりは余裕が出るはずが…、まったくそんなことはなく。何がいけないんでしょうかね。
一因は研究室の片づけをぼちぼちとしていることでしょうか。研究棟の耐震改修工事が来年度以降入ることが決まりましたが、代替場所や荷物の保管場所が、今のところ全く手当てされていない状態のため、どうなってもいいようにこの機会にできるだけ荷物を減らしておこうという感じなのです。まあ、僕のいる棟は2年くらい後になるとのことですが。
しかし、ずいぶん思い切っていろいろ処分したつもりでも、それがやっと本棚一段分くらいだったりして、やはり断捨離は難しく、道は険しい。
また、学内で組織している研究プロジェクト関連で、学外のゲストをお呼びする研究会を、この2月に4回行います。既に2回行ったのですが、そのうちの一回は、僕の院生時代の副指導教官のU先生をお呼びしました。かなり久しぶりでしたが、じっくりお話を伺えてよかったです。お変わりないU先生節で、とても懐かしい気持ちも。
学部ゼミの方も佳境に。先日は、来年度のゼミ選択の参考のため、2年生向けにゼミを開放するオープンゼミを行いました。ずいぶんたくさんの2年生が来ていましたが、さて来年度どうなるでしょうか(これまでの経験からすると、オープンゼミの見学者の数は、翌年の受講者数と、必ずしも相関しない)。
さて、今年度最後のゼミ書評では以下の本を。
①面白かったけど、あまり新味はなかったかも。まあ、こういった感じの日本政治分析が、日本においてもスタンダードになりつつあるということでしょうか。
- 作者: フランシスローゼンブルース,マイケルティース,徳川家広
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②こちらも面白くて一気に読んでしまいました。きっかけはナルシズム、継続はマゾヒズムというくだりなどは、だいぶ思い当たる(笑)。でも、ゼミ生(3・4年生)にこれを紹介するのはちょっと遅いかも。せめて2年生くらいじゃないと。
- 作者: 橋本努
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